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ジャック・ベッケル『穴』の緊張感に鳥肌 [映画]

まだ東京に名画座がたくさんあった頃、
1980〜90年代くらいまでは足繁く通いました。
だいたい2〜3本立ての映画を一日にハシゴしたりして。

銀座並木座では黒澤や小津や成瀬の名作から
大好きな社長シリーズやクレージーキャッツ、
GS映画などの昭和のプログラムピクチャーを。

大井町の大井武蔵野館では日本のキテレツな
カルト映画の数々を見たり。

その他にもいろいろなところで映画を見た記憶があり
名画座のある失われた風景が懐かしくもあります。


洋画は主にヨーロッパ映画をよく見ていましたね。
ヌーベルヴァーグとか90年代に発掘されたオシャレ系のとか。
六本木のシネヴィヴァンにもよく行ったものです。


シネヴィヴァンは今はなき六本木WAVEの地下にあった
ちょっとおしゃれな映画館でした。
ヒルズの再開発でWAVEのビルも無くなってしまいました。

ジャック・ベッケルの『穴』もシネヴィヴァンの
ベッケル特集上映で見た記憶があります。
ベッケルはヌーベルヴァーグの監督達の先輩世代にあたる
フランスの映画監督ですね。


この『穴』は脱走もの映画なんですが、
エンタテインメントというよりはまるでドキュメンタリーのような
リアルな感覚あるモノクロ映像がじりじりと見る側に切迫感を与えます。
『大脱走』が大好きだったこともあり、その緊張感がたまりません。

余計な音楽はなく、穴を掘る音の響き、コンクリを砕く様子の長回し、
のぞき穴のクローズアップ、5人の主人公のキャラ設定の明快さ、
数々の脱走テクニックなど、映画的な快感が凝縮されています。
ハリウッド映画にはない面白さだと思いますね。


『穴』Le Trou
 1960年フランス映画
 ジャック・ベッケル監督作品


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本国で公開された1960年に日本でも公開されていたとは驚き。
ぼくが見たのは1992年のリバイバル上映でした。


ベッケルはこの映画を撮った1960年に亡くなっているんですね。
享年53歳とのこと、まだまだ若くして亡くなってしまい残念。
彼の名作『現金に手を出すな』も一緒にレンタルしたのですが、
こちらははじめて観るので楽しみです。


さて、『穴』の最大のクライマックスは終盤にやってきます。
ストーリーの流れからすでに不穏な気配があるものの
あるワンショットですべてが分かる!
この一瞬は今回久々の鑑賞でもやはり鳥肌ものでした。

ちなみに、女性は一切出てこないのですが
唯一面会シーンで出てくる美しい美女はあのカトリーヌ・スパーク
このシーンを見るのもまた楽しみです。


映画を語るのは難しいですが、
とにかく面白い映画なので未見の方にはオススメです。




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